スポンサーサイト

スポンサー広告
-- /-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

崇徳院 - みづぐきの あとばかりして

コンデジ(Olympus & Sigma)と日記
10 /21 2007
俊成と崇徳院(2)

父を10歳のときに失った俊成、「父」鳥羽院の愛情に恵まれなかった崇徳帝。まだ二十台の両者は、身分の違いを越えて親しい仲だったようだ。俊成は内裏で行われた歌会にたびたび参加し、次第に歌人として認められていった。

1141年、鳥羽院の意向で22歳の崇徳帝は退位し、異母弟の近衛天皇が即位。以後、鳥羽院を本院、崇徳院を新院と称した。しかし引続き実権を握っていたのは鳥羽院であった。遠ざけられた崇徳院は、和歌にいっそう熱中する。

1142年頃、崇徳院は百首歌を召した(久安百首)。撰ばれた歌人は14人、当時28歳の俊成も加えられた。途中で歌人の入替えがあり、完成は8年後の久安六年(1150)となった。この百首歌は、俊成の歌人としての経歴に重要な意味を持つことになる。

1144年、崇徳院は第6勅撰集の撰進を藤原顕輔に下命した。この勅撰集『詞花和歌集』は1151年に完成。俊成は一首取られ、勅撰集初入撰を果たした。しかし実権者、鳥羽院の歌は一首も入っていない。

両院の確執は、和歌の世界にも影を落しつつあった。詞花集にみえる崇徳院の歌には、その機微を伺わせる歌がみられる。

ひさかたの天の香具山いずる日もわが方にこそひかりさすらめ
(詞花集379)

いづる日の入るを待つ間も難き世を思ひしるらん袖はいかにぞ
(同403)

前者の歌は、崇徳院の中宮(皇后)と近衛帝の女房とが「はかなきことにいどみかはして」歌で応酬していたときに、中宮に加勢して詠んだ歌。後者は、妻を亡くした臣下に与えた歌。しかしこれらの歌は、崇徳院自身によってのちに削除された。文脈から切り離して読めば、鳥羽院・近衛帝に対して異心ありと、邪推されかねない歌である。

当時の俊成と崇徳帝との交流を物語る微笑ましい挿話が、「長秋詠藻」にみえる。

崇徳院はある日「御草子書きて参らせよ」と俊成に命じた。俊成は草子を紙で包み、仮名で謙辞歌を書いておくった。

かずならぬ名をのみとこそ思ひしかかかる跡さへ世にや残さん
(長秋詠藻367)

すると崇徳院は女房の手で、返しの歌をおくった。
水茎の跡ばかりしていかなれば書きながすらん人は見えこぬ
「草子を書いてくれた筆跡ばかり送ってきて、なぜ書き流してくれた人は来ないのか」

院は地下人の俊成にわざわざ女房の手で書くなど、細かな配慮をしている。そして、俊成の書いた物語や歌を読みだけではなく、会って話がしたいのに、と真情を伝えたのだった。

1150年ころの一情景。保元の乱は6年後に迫っている。



コメント

非公開コメント

初めまして!

とても勉強になりました。
崇徳院の細やかな気配りを知れてよかったです。
崇徳院の和歌はやっぱりいいなあとも思いました。
私はブログで小説を書いているのですが、こちらの記事を参考にしました。
自ブログで記事を紹介してしまったのですが、不都合だったら仰ってくださいね。

他の記事もゆっくり読みたいと思います。

Re: 初めまして!

ゆきめ様、
コメント有難うございます。崇徳院の記事を再編集しました。
崇徳院の和歌は非常に繊細で霊感の強いものです。俊成・定家親子に強い影響を与えていますね。
当時、掌編小説も連載しましたので、宜しければご覧ください。
http://waka158.blog.fc2.com/blog-category-9.html

読みました

掌編小説読みました。

淡々とした筆致の中に、登場人物への思い入れが感じられ、素敵だなあと思いました。

「うつつには思ひ消えゆく逢ふことをいかに見えつる夢路なるらん」
という和歌が、崇徳院が俊成送った長歌の返信のように思えました。
これはいろいろと勉強不足なので間違っているかもしれませんが(^_^;)

「書いていて痛感したのは、平安以降の和歌も、芸術を共有する喜びがあり、自然と人間の心の美を歌う手段であり、切磋琢磨する言語芸術であり、人と人を結ぶ固い絆でもあったことです。これは万葉時代とも変わるところがありません。」
これはこちらの記事を読んでいてつくづく感じました。
和歌集を読む際、意外と詞書を読むのが楽しかったりします。どういう状況で読んだ和歌なのか、背景が知れるからです。
和歌を詠んだ人も現代を生きる私たちと変わらない、同じ人間だったのだな、と、楽しくなります。

長々と失礼しました。
私のブログにコメントもありがとうございました(*^^*)

Re: 読みました

お読み頂き有難うございます。日本文学の根本には和歌があり、その主流は恋歌なのに、私はゆきめさんのように恋を可視的に生き生きと描くことができません。次の短編を楽しみにしています。

ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。