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アンドレ・カプレ「ロンサールのソネットによる2つの歌曲」より

アンドレ・カプレ (1878-1925)
11 /25 2011
「ロンサールのソネットによる2つの歌曲」より

原詩 ピエール・ド・ロンサール(1524-1585)
作曲 アンドレ・カプレ

「かくも甘き矢は」Doux fut le trait...
(1分28秒から)


Doux fut le trait qu'Amour hors de sa trousse
かくも甘き矢は、愛の神が箙から
Tira sur moi; doux fut l'acroissement
私を殺めようと、甘美にも放ったもの
Que je receu dès le commencement,
その最初の矢を受けてから
Pris d'une fiebvre autant aigre que douce.
甘いというよりも、もっと震えるような熱に見舞われた。
*recue→recevoirの過去分詞、fiebvre→fièvre

Doux est son ris et sa voix qui me pousse
甘美なのは彼女の笑み、彼女の声、それは遊離させる、
L'esprit du corps plein de ravissement,
私の魂を体から、天にも昇る心地に
Quand il lui plaist sur son Lut doucement
彼女がリュートを甘やかに奏で、
Chanter mes vers animez de son pouce.
私の詩句を歌って命を与えるときに。

Telle douceur sa voix fait distiler,
それほど甘やかに彼女の声は昇華させる
Qu'on ne sçauroit, qui ne l'entend parler,
分からないだろう、彼女が話すのを聞いたことのない人は
Sentir en l'ame une joye nouvelle.
魂の感じる新鮮な歓びを。
*sçauroit→saurait

Sans l'ouir, dis-je, Amour mesme enchanter,
それを聞かなければ、私は言おう、愛の神が魅惑したのだと
Doucement rire, et doucement chanter,
甘美な笑い、甘美な歌で、
Et moy mourir doucement auprès d'elle.
そして私は甘美に死ぬ、彼女の傍らで。
*mesme→même

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16世紀の詩人、ロンサールは20世紀に入ってからリヴァイバルが進んだそうで、その詩にミヨーやルーセル、プーレンクといった作曲家たちが歌曲を書いている。先に取り上げたルーセルの作品と同じく、これは当時の吟遊詩人たちの哀歓-音楽による歓びと悲しみ-を歌った詩で、ハープは詩中で歌われるルネサンス期のリュートを描いている。歴史のなかから蘇った詩と文学に、こうして新たな命を吹き込んだ20世紀の作曲家たちの創意工夫は、私にとっては12音のドグマ一色に染め上げられた同時代の作品群よりも、はるかに興味深く、そして美しいと思う。こうした色とりどりの個性と創意にめぐり合うのはフランスの作曲家の歌曲を聴く大きな楽しみだ。

カプレのこの作品、闊達なピアノ伴奏の歌曲とは違ったカプレの抒情味と簡潔な旋律が水彩画のように綺麗だ。出来ればもっといい録音と演奏で聴きたいのだけれども...

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