レオシュ・ヤナーチェク 楽譜の風景3

レオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)
05 /27 2016
レオシュ・ヤナーチェクは不思議な作曲家で、若いころの作品ほど古臭く陰気で、年を取るごとに斬新で生気がみなぎってくる。その活力源は30代に始めたモラヴィア民謡のフィールドワークで、その没頭ぶりは楽譜にもよく表れている。この「モラヴィア民俗舞曲集」(1889年)のStarodavny「昔の踊り」という曲、民俗楽器ツィンバロムとピアノの両方のバージョンを載せ、欄外には舞曲のステップや振付けまで記す(!)まで徹底しています。この曲、Youtubeに復元映像がありました。19世紀にはすでに廃れていた、珍しい踊り。幸いにも今日まで伝承されたんですね。

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ヤナーチェクの最初の著作はこの「モラヴィア民謡の花束」(1890年)で174曲の民謡を載せています。現物を手に取ってみると、文庫版ほどの大きさに補強付きの装丁がされていますが、これは当時の師範学校(合唱とヴァイオリンが必修)や合唱団で、いつでも手に取って歌えるようにという配慮だったようです。印刷されたのはチェコのテルチと記されていますが、ようよう楽譜の体を成しているという感じで、長くても10小節ほどの曲なのに、フラット記号がずれていたり、誤植があったりと、当時のチェコの楽譜印刷の水準が分かります。国民楽派というのは作曲だけではなく、こうした自国語の楽譜の印刷なども含めた運動であったわけですね。
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ISATT

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