ドヴォジャーク 歌曲「エリシュカ・クラースノホルスカーの詩による歌曲集」より

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
01 /14 2016
ドヴォジャーク 歌曲「エリシュカ・クラースノホルスカーの詩による歌曲集」より

ドヴォジャークが初めて公開演奏会で自作を披露したのは1871年、ドヴォジャークが30歳(!)の時の事でした。この時演奏されたのがこの5曲の歌曲集です。原詩はスメタナのオペラの台本作家として著名な女流作家、エリシュカ・クラースノホルスカー(1847 - 1926)によるもの。ながらく秘曲となっていましたが、2004年にヴェルナルダ・フィンクがCDに録音したことで日の目を見ました。若き作曲家が恋の揺れ動き、悲喜こもごもの感情を歌い上げた瑞々しい傑作をお楽しみください。



「逡巡」Překážky (36分12秒から)
Řekla bych vám něco, růže,
ちょっと言っていいかしら、薔薇さん
že byste se usmály,
あなたは微笑むかもしれないけど、
kdyby jen jste lidské srdce
どうなのかしら、あなたがひとの心を
mezi lísky chovaly.
葉の重なりのなかに持っていたら。

Řekla bych ti, lidské srdce,
言っていいかしら、葉の心さん
něco, ach! tak sladkého,
すこしだけ、ああ、とても素敵なことを。
kdybych nemusila při tom
私は出来ないかもしれないけど、あの
zřít do oka černého.
黒い瞳を見つめることが。

Černé oči! snad i vám bych
黒い瞳!きっとあなたには
tajemství to svěřila,
打ち明けるはずの秘密があるのね
kdyby jen ta purpurová
どうかお願い、あなたの紫色の
zrádná usta nebyla!
唇が裏切りませんように!

「巡る思い」Přemítání(37分55秒から)
Koho jen bych se zeptala,
いったい誰に尋ねたらいいの
proč mě má asi Jeníček rád?
なぜヤンが私を好きみたいだなんて?
skoumání marné mi hlavinku trudí,
あたしの小さなおつむは何故かなと悩んでる 
trampota často ze sna mne budí,
気がかりで何回も目が覚めて
slzívám proto nastokrát.
それで何度も泣いているの。

Nejsem přec jeho matičkou         
あたしはあのひとのお母さんに似てないし
nejsem mu sestrou ni dcerunkou,
姉でも娘でもないし
nehlídal mne, když jsem byla malá,
あたしが子供だった時は見向きもしなかったし
nezpíval mi, abych tiše spala,
静かに寝るよう、子守り歌を歌ってくれることもなかったし
nekolébal mne na rukou.
抱いてあやしてくれることもなかった。

Uzřel mne prvně, podruhé,
彼と会って、また会って
ptal se mne mnoho - nevím oč!
彼は何度も話しかけてきた-何だか分からないわ。
a hned mi řekl, že beze mne není
それから急に言ったの、あたしがいないと
radostným jemu ni okamžení -
すぐに楽しくなくなってしまうと
miloval mne - a neměl proč !
あたしが好きだと-何でだか言えなかったけど!

Takovou lásku jen možno zřít
こんな愛を見れるのは
na svátem obraze v kostele:
教会の宗教画だけ。
tak jeho my dva tam na potkání
あたしたち二人は教会で見つめ合う
jak by se minout ani nemohli,
別れるなんてことができないよう
dobří se milují andĕle!
心から愛し合う善天使のように!

「菩提樹」Lípy (30分35秒から)
Bylo to ach! v létě krásném,
ああ、それは美しい夏の日
lípy stály v květu,
菩提樹の老木は花を咲かせていた
když mi věrnosť přislíbil
あなたが私に誓ったとき
až do konce světů.
この世にあるかぎり愛すると。

Vrátilo se léto milé,
美しい夏はまた巡ってきて
lípa znovu zkvétá,
菩提樹はふたたび咲いた、
po slibu však, po lásce,
しかし約束は、愛は
po věrnosti veta.
誓いは、なかった。

Ó vy lípy, kdy vás kvést
おお菩提樹よ、お前が花咲くとき
oči moje zhlédnou,
私は目にする
slzívám, že za sto let
涙を流しながら、長い年月のなかで
věrnosť květe jednou.
愛の誓いの花は、ただ一度だけ咲いたことを。

ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。