ドヴォジャーク 歌曲集「夕べの歌」より

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
07 /16 2014


ドヴォジャーク 歌曲集「夕べの歌」Večerní písně

原詩 ヴィーチェスラフ・ハーレク
作曲 アントニーン・ドヴォジャーク、op.31 1871年頃

第三曲「私は枝を広げた菩提樹のよう」

Jsem jako lípa košatá,
私は枝を広げた菩提樹のよう
když oděje se k svátku:
婚礼の衣装をまとうと。
ty krásná růže májová,
お前、美しい五月のバラよ
pojd' sem, do mého chládku.
こちらへおいで、私の木陰へと。

Zde vůní dýše každý list,
ここではどの葉も芳香を放ち、
zde bzučí včelek roje,
蜜蜂の群れが羽音を立てる、
večer sem letí ptáčkové,
夕べには鳥たちが飛んでくる
to myšlénky jsou moje.
この思いは私のもの。

Ty odletují daleko,
お前は遠くへ飛びたつ、
jak od domova děti:
子供のように家を出て。
však Ty-li ke mně zasedneš,
だが私のそばに座れば、
již více neodletí.
もう飛び去ることはない。

* * *
košatit se=spreading、odít se衣装をまとう、着る、chládek日陰,涼しい所、vůně芳香、včela蜜蜂、roj群れ、bzučí=buzz、zasedneš(zasednout)席につく,集まる、li=jestli(if)、 odleti=departure, fly away

亡きルチア・ポップの若き日の名唱で、ドヴォジャークの知られざる名作を耳にすることができた。1975年のコヴェントガーデン・ライヴだと思うが、聴いているうちに嗚咽しそうになった。ヤナーチェクのオペラ「利口な女狐の物語」のタイトルロールで、指揮者マッケラスとともに不滅の名盤を残したひとだが、ついに実演を聴くことは叶わなかった。しかし彼女の歌は永遠に残る...。ハーレクの田園詩に付けたこのドヴォジャークの歌、恋を実らせ、遠くの村から迎える新妻を「五月のバラ」にたとえた、飾りのない田園の恋の歌が胸に迫ってくる。これほど澄んだ気持ちで相手のことを思う瞬間もあるのかと。
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