ドヴォジャーク 歌曲「私をひとりにして」

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
10 /21 2013
10/11・12、ラドミル・エリシュカ氏指揮の札幌交響楽団の演奏会に行った。
メインはブラームスの交響曲第三番で、それはそれは素晴らしい演奏だったが、一曲目のドヴォジャークのチェロ協奏曲もよかった!石川祐支さんのソロはオケの首席奏者らしく、アンサンブルを意識した端正なものだったが、2日目はじっくりと歌う名演で、第三楽章、あのヴァイオリンとの二重奏の箇所では思わず涙してしまった。

実演で気が付いたが、あのソロの前、第一ヴァイオリンはずっと休止している。やがてコンミスの大平さんが奏した旋律はドヴォジャーク自身の歌曲「わたしをひとりにして」の冒頭。本当にひとりになって歌うのだ!

週明けの16日の台風、中央線の運転再開を待ちながら、ドイツ語の歌詞を半分まで訳し、残りの難しい箇所を時間をかけて訳してみた。以前チェコ語の対訳を作ったが、かなり内容が違うのに驚いた。Youtubeで見ることができる直筆譜ではLaßt mich alleinと書いてあるので、ドイツ語の方がオリジナルと思う。恋に落ちた女性の混乱した心情を歌い上げた曲で、旋律も歌詞も、なんて切ない曲だろうか。

この演奏では抜粋して歌っているが、この曲ゆかりの人の写真や、当時のドヴォジャークの住んだ家の映像を見ることができる。


Laßt mich allein「私をひとりにして」

歌詞:オティリエ・マリブロック=シュティーラー 
作曲:アントニーン・ドヴォジャーク 作曲1887年


Laßt mich allein in meinen Träumen geh'n,
私をひとりにして、夢の中に入っていくままに
stört mir die Wollust nicht in meinem Herzen,
私の胸の内の、この歓びを邪魔しないで、
laßt mir die Wonne all', laßt mir die Schmerzen,
私をこの喜びと、この苦しみとで
die mich erfüllen, seit ich ihn gesehn!
一杯になったままにして、あのひとに逢ってからずっとそう!
*Wollust快楽、歓喜、stört→stören邪魔をする、erfüllen満たす、心を占める、seit(since)

Laßt mich allein! Verscheucht den Frieden nicht
私をひとりにして!心の安らぎを払いのけないで、
in meiner Brust mit euren lauten Worten,
胸のなかの(安らぎを)、あなた方の騒々しいことばで。
daß ich ihn seh' und höre aller Orten!
私には彼の姿が見え、声が聞こえるの、どこにいても!
Laßt mich allein mit seines Bildes Licht!
私をひとりにして、輝くあのひとの姿とともに!
*Verscheuchen払い除ける

Fragt nach dem Zauber nicht, der mich erfüllt!
私にかけられた魔法のことを、詮索しないで
Ihr könnt die Seligkeit ja doch nicht fassen,
あなた方にはできない、この至福を止めることは
die seine Liebe mich hat fühlen lassen,
あのひとの愛が私に感じさせる(至福を)。
die Liebe, die nur mir, mir einzig gilt.
それは愛、ただ私だけ、私だけに向けられた愛。
Laßt mich allein! Laßt mich allein, laßt mich allein!
私をひとりにして!
*fragen nach (3格)について尋ねる、Seligkeit至福、fühlen=feel

Laßt mich allein mit meiner Last
私をひとりにして、締めつけられる心とともに
von heißer Qual, von loderndem Entzücken,
熱をもった苦しみと、燃え上がるような魅惑に
und sollt’ es dich, du armes Herz, erdrücken:
かわいそうな心よ、お前は抑えられればよいのに
du trägst allein was du vom Liebsten hast!
恋ゆえに抱えたものをひとり背負うことを!
*sollte→sollen 主語es 接続法第二式

Laßt mich allein in meinen Träumen steh'n!
私をひとりにして、夢の中に立ちつくしながら
Er liebt mich ja! Laßt mir den tiefen Frieden,
あのひとは私を愛している!この深い心の安らぎを
den dieses Wort mir gab, von dem geschieden,
あの言葉が私に与えてくれたままにして、それがなければ
die Seele müßt in Sehnsucht untergeh'n.
私の心は憧れのあまり滅びてしまうだろう。
(繰り返し)
*geschieden→scheiden隔てる、分かれる
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