ドビュッシー 歌曲「終わり無き夜」

クロード・ドビュッシー(1862-1918)
08 /29 2013
Nuit sans fin 「終わり無き夜」♪

作詞・作曲 クロード・ドビュッシー

Nuit sans fin.
終わりの無い夜、
Tristesse morne des heures où l'on attend!
暗い悲しみのうちに待ち続ける、
Coeur rompu.
張り裂けた心。
Fièvre du sang rythmant les douces syllabes de son nom.
血はたぎり彼女の名の甘いシラブルを脈打つ。
Qu'elle vienne, la trop désirée,
おいで、抱きたくてたまらないひと
Qu'elle vienne, la trop aimée,
おいで、愛しくてたまらないひとよ
Et m'entoure de son parfum de jeune fleur!
そして私を早咲きの花のような君の香気に包んでおくれ!
Que mes lèvres mordent le fruit de sa bouche
私の唇が、君の口の果実を咬み
Jusqu'à retenir son âme entre mes lèvres!
君の心が私の唇の間に響き渡るように!

Ai-je donc pleuré en vain,
ああ、涙を流したのは無駄だったのか、
Ai-je donc crié en vain
泣き叫んだのは無駄だったのか、
Vers tout cela qui me fuit?
私から去っていく全てのものに。
Tristesse morne.
暗い悲しみのうちに待ち続ける、
Nuit sans fin!
終わりの無い夜、

*mordent→mordre「咬む」接続法現在
fuit→fuir 直説法現在。

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音楽家的な発想
四行目Fièvre du sang rythmant les douces syllabes de son nom.
高まった脈拍が恋人の名を刻んでいる「リズム」のように響く。脈拍を描くピアノのバス。
九行目Jusqu'à retenir son âme entre mes lèvres!「リテヌート」

性的オブセッション
五行目 Qu'elle vienne, la trop désirée,「おいで、抱きたくてたまらないひと」
恋人の最初の表現としてdésirée→欲望の対象
Que mes lèvres mordent le fruit de sa bouche
Lèvres→boucheの繰り返し。フロイト的?

作曲年 1898年、「抒情的散文」に続く5曲集のうちの2曲?
手稿譜はアルチュール・オネゲルの遺品より発見。2001年出版。

参考文献
「フランス歌曲の珠玉」フランソワ・ル・ルー原著、春秋社2009年
「作曲家 人と作品 ドビュッシー」松橋麻利著、音楽の友社2007年

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