ドビュッシー 歌曲「眠りの森の美女」

クロード・ドビュッシー(1862-1918)
02 /29 2012
ドビュッシー 歌曲「眠りの森の美女」La Belle au Bois dormant

原詩 ヴァンサン・ヒスパ (1865-1938)
作曲 クロード・ドビュッシー(1890年、28歳頃)



Des trous à son pourpoint vermeil,
穴のある赤い胴衣を着て
Un chevalier va par la brune,
ある騎士が闇の中を行く。
Les cheveux tout pleins de soleil,
彼の髪は太陽に輝く、
Sous un casque couleur de lune.
月光の兜の下で。
Dormez toujours, dormez au bois,
眠れ、永遠に、森の中で
L'anneau, la Belle, à votre doigt.
指輪を、眠りの美女よ、指にはめて。

Dans la poussière des batailles,
戦塵にまみれて、
Il a tué loyal et droit,
騎士は殺した、忠実に雄々しく
En frappant d'estoc et de taille,
細身の剣を振りおろして
Ainsi que frapperait un roi.
王をも討ち果たすばかりに。
Dormez au bois, où la verveine,
眠れ、森の中で、バーベナの花が
Fleurit avec la marjolaine.
マジョラムと共に咲く森で。

Et par les monts et par la plaine,
山を越え、草原を通り、
Monté sur son grand destrier,
堂々とした軍馬にまたがって
Il court, il court à perdre haleine,
彼は駆けに駆ける、息を切らし
Et tout droit sur ses étriers.
堂々と鐙にまたがって。
Dormez la Belle au Bois, rêvez
眠れ、森の美女よ、夢みよ
Q'un prince vous épouserez.
貴公子がお前を娶ることを。

Dans la forêt des lilas blancs,
白いライラックの花咲く森で、
Sous l'éperon d'or qui l'excite,
花を黄金の拍車で蹴りちらしながら
Son destrier perle de sang
彼の軍馬は血をほとぼらせ
Les lilas blancs, et va plus vite.
白いライラックの上に、そして疾駆する。
Dormez au bois, dormez, la Belle
眠れ森で、眠れ、美女よ
Sous vos courtines de dentelle.
レースのカーテンの下で。

Mais il a pris l'anneau vermeil,
しかし彼は深紅の指輪を抜き取った、
Le chevalier qui par la brune,
騎士は夜の闇を抜け、
A des cheveux pleins de soleil,
髪は太陽の輝きに溢れていた
Sous un casque couleur de lune.
月光色の兜の下で。
Ne dormez plus, La Belle au Bois,
もう寝てはいけない、森の美女よ
L'anneau n'est plus à votre doigt.
もう指輪はお前の指にはないのだから。

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ドビュッシーの初期の歌曲を久々に取り上げます。ドビュッシーが声楽曲で愛着を込めて取り上げた主題に、海と自然、子供、そして中世の伝説などがありますが、この曲も騎士物語を思わせるとてもロマンチックな内容です。文体も中世詩を模しているのか、ロンドのようにDormez - au bois- la Belleが繰り返され、古語がちりばめられた、とても訳しにくいものでした。しかし、月・太陽・夜の色彩をとりまぜて描く最終連など、後の歌曲集「叙情的散文」を思わせる、先駆的な名作だと思います。(滅多に演奏も録音もされないのは何故か?)

フランスの童謡「もう森には行かない」Nous N'irons Plus au Boisがピアノ伴奏に使われています。同じ旋律がピアノ曲にも用いられていて、ドビュッシーの愛好する旋律だったようです。
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