ラヴェル『マラルメの詩による3つの歌曲』1 ♪

モーリス・ラヴェル (1875-1937)
07 /31 2010
暑い日々。久々に、冷たい熱狂ともいうべきラヴェルの作品を。
あまり演奏されない合奏伴奏の歌曲ですが。
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『ステファン・マラルメの詩による3つの歌曲』Trois Poèmes de Stéphane Mallarmé

原詩 ステファン・マラルメ
作曲 モーリス・ラヴェル (1913年)

第一曲「溜め息」♪ Soupir

Mon âme vers ton front où rêve, ô calme soeur,
私の魂は君の容貌へと向かう、夢うつつに、おお静かな恋人(妹)よ、
Un automne jonché de taches de rousseur,
秋の吹き敷く雀斑のある(君の容貌へと)。
Et vers le ciel errant de ton oeil angélique
そして君の天使のような瞳がさまよう空へと
Monte, comme dans un jardin mélancolique,
立ち昇る、さながら憂鬱な庭のなかで、
Fidèle, un blanc jet d'eau soupire vers l'Azur!
ひとすじに、白い噴水が青空へ向かってため息をつくように!
Vers l'azur attendri d'octobre pâle et pur
(私の魂は)十月の蒼白く澄んだ、心揺ぶる空に向かう、
Qui mire aux grands bassins sa langueur infinie
空は大きな泉水の、尽きることのない憂いを映し、
Et laisse, sur l'eau morte où la fauve agonie
そしてあとに残す、淀んだ水の上、褐色に枯れた
Des feuilles erre au vent et creuse un froid sillon,
葉が風に迷って冷たい波紋を刻む(水の上に)、
Se trainer le soleil jaune d'un long rayon.
黄色い太陽が長い光の帯を這わせるままに。

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オリジナルの弦楽・クラリネット、フルート、ピアノによる合奏版。前半5行で反復される弦のハーモニクスによるアルペッジョの不思議な陶酔感、それに乗って歌われる五音音階的な声の旋律と、冷たい音色のピアノ。難解なマラルメの詩は、氷砂糖のような爽しい甘味を秘めていて。思い続ける恋人の容貌の向こうに、さまざまな自然の風景と光とが、幻想の中に見えてくる。

ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。