シマノフスキ オペラ「ロジェ王」より

カロル・シマノフスキ(1882-1937)
02 /13 2010
シマノフスキ オペラ「ロジェ王」より
第二幕 王妃ロクサーヌのアリア♪

Aa....
ああ!
Uśnijcie krwawe sny króla Rogera
ロジェ王の血塗られた夢を追い払い、
niech balsam nocy spłynie na jego wolę,
夜の香りが彼の怒りをなだめ、
niech źądne mściwe serce łaską się napełni!
彼の復讐心を慈愛で満たしたまえ!

Aa....
ああ!
Bądź łaskaw, Królu, na pasterza,
慈悲をかけたまえ、王よ、羊飼いに、
niech jak zmęczona, syta krwi pantera
血に倦んだ豹のように、
gniew twój minie!
あなたの怒りを鎮めたまえ!
Bądź łaskaw, Królu, na pasterza.
慈悲をかけたまえ、王よ、羊飼いに、

Aa....
ああ!
Nocy dzisiejszej jastrząb nie goni ptaszyny,
今宵は鷹でさえ小鳥を追うのをためらい、
węźe usnęły na łodygach lilji, łaskawość
蛇も百合の茎にまどろみ、慈愛が
zsyła biały płmień planet.
投げかけている、星の白い光を。

***

シマノフスキの代表作、オペラ『ロジェ王』の舞台は12世紀のシチリア。神話時代に遡る歴史をもつこの島を占領したノルマン系の王ルッジェーロ二世は、宗教に寛容だったために、古典古代の文化を復興し、イスラム系の文化と共存したという。その王国に現れる羊飼い(ディオニュッソスの化身)の説く汎神論的な異教の虜となっていく民衆と王妃ロクサーヌ。羊飼いを処刑しようとしながら、心惑うロジェ王。そのロクサーヌが第二幕で王に歌うアリア。

シマノフスキは、1908年から1914年にかけてイタリア、シチリア島から北アフリカを旅行して、作風に官能的な色彩とハーモニーを加えたという。このアリアも、蠱惑的といおうか、シチリアの夏の夜の雰囲気、さまざまな香りを乗せた海の風のような響きが聴こえてくる。

パレルモとその周辺には、古代ローマ時代からイスラムの遺構、それらと混淆したロマネスク時代の教会が残っていて、かつて熱に浮かされたように歩きまわったことがある。ルッジェーロ二世の黄金の夢のような、教会内陣の壁画を見たときの感動を連想した。祈りのように、子守唄のように、そして恍惚の叫びにも聴こえる響き。

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追記:
日本では1981年に「日本シマノフスキ協会」が設立されて、ラトルが99年に録音した『ロジェ王』の日本盤も、会員の方々が対訳と解説を執筆されている。そのCDの対訳を、少しだけ変更させて頂いた。

ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。