ガブリエル・フォーレ 「黄金の涙」

ガブリエル・フォーレ(1845-1924)
11 /30 2009
Pleurs d'or 「黄金の涙」♪

原詩 アルベール・サマン
作曲 ガブリエル・フォーレ(1896年, op.72

Larmes aux fleurs suspendues,
花々から涙は滴り、
Larmes aux sources perdues
泉の涙は消える、
Aux mousses des rochers creux;
窪んだ岩々の苔のなかに。

Larmes d'automne épandues,
秋の涙は降り注ぎ、
Larmes de cor entendues
角笛の涙は聴こえる、
Dans les grands bois douloureux;
悲しみの深い森のなかに。

Larmes des cloches latines,
ラテンの国の鐘の涙、
Carmélites, Feuillantines...
カルメル会、フイヤント会(修道院の)
Voix des beffrois en ferveur;
熱心に打ち鳴らされる鐘楼の音、

Larmes des nuits étoilées,
星の美しい夜の涙、
Larmes des flûtes voilées
ベールをかぶったフルートの涙は、
Au bleu du parc endormi;
まどろむ庭園の青色に(響く)。

Larmes aux grands cils perlées,
長い睫からこぼれる真珠の涙、
Larmes d'amante coulées
恋人に流れ込む涙、
Jusqu'a l'âme de l'ami;
愛する男の魂にまで。

Larmes d'extase, éplorement délicieux,
悲歎に暮れ、甘い、恍惚の涙よ、
Tombez des nuits! Tombez des fleurs ! Tombez des yeux !
夜のとばりを落とし、花々を落とし、眼を閉じさせよ!

* * *

1896年、51歳のフォーレがロンドンへの演奏旅行に際して作曲した、メゾとバリトンのための二重唱曲。この編成による唯一の作品。

ロスアンヘレスとディースカウが共演した、この珍しい録音を繰り返し聴いている。実に不思議な音の動きがあって、未知の森をさ迷うような、ミステリアスな感覚。この編成ならほかの作曲家たちは朗々と愛の二重唱を書いただろうに。フォーレ持ち前の甘美な旋律美と、後期の抑揚を抑えた簡潔な様式とが、同じ曲のなかに混在しているような印象。それこそが、この探るような響きを作りだしているのでは、と思う。あるいは、19世紀の音楽から、20世紀の音楽への変容..

「花にたまった露、泉の雫、鐘の音、星の輝き、恋する女の涙・・・を背景に、恋する詩人の心を歌った詩の中で、涙の光る雫をピアノはアルペジョで絶えず表現している」(前掲書 p.224)
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