ブラームス「ひばりの歌」作品70-2

ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
02 /28 2009
ヨハネス・ブラームス
「ひばりの歌」Lerchengesang 作品70-2
原詩 カール・アウグスト・カンディドゥス Karl August Candidus (1817-1872)
(拙訳)

Ätherische ferne Stimmen,
天空の彼方からの声、
Der Lerchen himmlische Grüße,
ひばりの天からの挨拶、
Wie regt ihr mir so süße
なんと甘く、お前たちの声はゆり動かすことか、
Die Brust, ihr lieblichen Stimmen!
この私の胸を、愛らしい声よ!

Ich schließe leis mein Auge,
私はそっと眼を閉じる
Da ziehn Erinnerungen
すると思い出が浮かんでくる、
In sanften Dämmerungen
穏やかな、たそがれのなかで、
Durchweht vom Frühlingshauche.
春の息吹と一体となって。

ブラームスの歌曲のなかではあまり目立たない小曲なのだが、楽譜を読んでいるうちに興が乗って、丸一ページを書き写してしまった。趣向を凝らした書法がとても面白いので。

ひばりの声を描いたピアノ。冒頭のピアノ序奏の微妙に移り動く高音が、春の空から時には高く、時には低く降ってくるひばりの声を思わせる。その春の野に人の声が聞こえてくると、ひばりの声はぴたりと止んでしまう(第5、8小節)。それが二回繰り返されるが、やがてピアノの音(ひばりの声)はすこしずつ降りてきて、両者の声はハーモニーをつくるようになる(第11小節以降)。独唱は連符、ピアノは8分音符だから、音はすこしずつずれているのだけれど、それも地上と空の呼び交わしを思わせる。自然のなかに受け入れられたひとと、そのひとのそばで歌うひばりの二重唱のようだ。この親密な春の自然の描写。

*譜例はカワイのフリーソフトで表示・演奏させることができます。

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