「最後の詩」  ロベール・デスノス

コンデジ(Olympus & Sigma)と日記
01 /31 2009
「最後の詩」  ロベール・デスノス
 
こんなにも激しく君のことを夢に見た
こんなに歩いた こんなに語った
こんなにも君の影を愛した
私にはだからもう残っていない 君のわずかなかけらさえ
残されているのは影たちのなかの影であること
影の百倍も影であること
その影は訪ねてはまた訪ねして戻ってゆくのだ
明るく照らされた君の生のなかへ
 
LE DERNIER POÈME
J’ai rêvé tellement fort de toi,
J’ai tellement marché, tellement parlé,
Tellement aimé ton ombre,
Qu’il ne me reste plus rien de toi.
Il me reste d’être l’ombre parmi les ombres
D’être cent fois plus ombre que l’ombre
D’être l’ombre qui viendra et reviendra dans ta vie ensoleillée.
Robert Desnos
 
 
第二次大戦中、ナチスはチェコのテレジンに強制収容所を置いた。このテレジン収容所では、国際社会の目を欺くために、子供たちや芸術家による音楽や絵画が奨励されて喧伝された。しかしその後、彼らのほとんどはアウシュビッツの「絶滅収容所」で殺戮された。
 
フランスの詩人、ロベール・デスノス(1900-1945)もこの収容所で落命したひとり。彼はフランスでのレジスタンス運動に加わり、1944年2月にゲシュタポに逮捕された。翌年5月にテレジン収容所から解放されたが、チフスによる衰弱で死去。
 
この詩は、収容所で妻ユキに宛てて書かれた。肉体的・精神的にあらゆる意味で絶望的な状況下、最後の体力を消尽しつつ筆を走らせていた人の作品。J’ai .. tellmentと激しい情熱で妻への愛を歌った詩人は、後半でombre「影」と自己を描く。「影の百倍も影」にまで衰弱した彼の魂は、妻への思いに還っていく。太陽の明るみの中にいる君、その光のつくる影をみたら、それは私の魂だと思って欲しい、そしてこの身は滅びても、永遠にあなたと共にいよう、と。
 
テキスト、訳文は「フランス詩のひととき-読んで聞く詩華集」吉田加南子著 白水社(2008年)より引用しました。
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