作曲家Jean Cras(1879-1932)の作品 II

ジャン・クラ (1879-1932)
05 /04 2012
雨の連休、一昨日はも半端ではない豪雨だった。今日も外出しようとしたら雨雲が近づきつつある。暗い空に部屋に戻って黙々と本を読んでいると、雷まで鳴り出した。

さて、A French Song Companionという本がOxford大学から出版されている。このBlogで以前にも紹介したが、ピアニストのGraham Johnson氏が長年演奏しているフランス歌曲の作曲家たちを紹介し、主要な作品に対訳を付けたもの。B5版568ページの大著で、対訳付きの作曲家だけでも63人、総計では百何人にのぼるのか数えたことがない。ほとんどが小生には未知の作曲家。音源も発売されているか心もとないので、作曲者名をYoutubeで検索してみると、意外に質のよい演奏で聴くことができる。今回のJean Crasもそうして知った作曲家だ。

このジャン・クラの音楽、時代の最先端とか、新しい技法や流派、といった要素は無いけれども、かけがえのない美点だと思うのは、音楽に息吹く愛情と気品。大洋を流れる空気のような爽やかさ。同時代のベルリンやウィーンの息苦しい音楽よりも、正直私はこのジャン・クラやカントルーブの音楽の方がずっと好きだ。ワーグナーの影響を早いうちに克服してしまったフランス音楽、その多様な個性の美を、これからもこのBlogで楽しんでいこうと思う。

ジャン・クラ ピアノ曲「海の風景画」

作曲家Jean Cras(1879-1932)の作品 1

ジャン・クラ (1879-1932)
05 /03 2012
Jean Cras(1879-1932)という作曲家のことを調べている。手元の資料にも、「無名の作曲家」とあるが、経歴も変わっていて、フランス海軍の士官で、現役の海軍少将として亡くなったとある。ラヴェルの五歳年下で、アンドレ・カプレ (1878-1925)、ジョゼフ・カントルーブ (1879-1957)、モーリス・ドラージュ(1879-1961)といった俊英と同世代。

いくつかの器楽作品をYoutubeで聴くことができる。ドビュッシー、ラベル、ルーセルといった先輩たちの作品に影響を受けながら、独自の知的で色彩豊かな作風を完成していて、聴くたびに曲への愛着が深まっていくような、素晴らしい作品がある。そして海を主題にした作品群は、生涯を航海者として過ごした人でしか書けない、かけがえのない世界だ。

声楽作品も数多く残していて、Timpaniレーベルから二枚のCDが出ている。一時期デュパルクに師事したそうで、エキゾチズムに終わらない気品を感じるのはそのためだろうか。少しずつ紹介していきたいが、まず器楽曲からいくつかを...

ジャン・クラ「弦楽とフルート、ハープのための五重奏曲」より

ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。