セザール・フランク 歌曲「ル・シルフ」

セザール・フランク (1822-1890)
04 /28 2012


春の爽やかな大気の香りのような一曲。若き日のフランクの知られざる歌曲です。ピアノの伴奏に奏でられるチェロのオブリガートは、目に見えない大気の精の足取りのよう。


セザール・フランク 歌曲「ル・シルフ」

原詩 アレクサンドル・デュマ
作曲 ゼザール・フランク(1842–3年、20歳頃)

Je suis un sylphe, une ombre, un rien, un rêve,
私はシルフ、影、無、夢、
Hôte de l'air, esprit mystérieux,
大気に住む、不思議の精、
Léger parfum, que le zéphir enlève,
西風に乗る軽やかな香り
Anneau vivant, qui joint l'homme et les dieux.
人と神々を結ぶ、生きている輪。
*シルフは大気の精、男性。

De mon corps pur les rayons diaphanes
私の澄んだ体から、透き通る光りが漂い
Flottent mêlés à la vapeur du soir;
夕べの霞に流れて溶け合う。
Mais je me cache aux regards des profanes,
しかし私は俗世の眼から逃れ
Et l'âme seule en songe peut me voir.
夢見る魂だけが私を見ることができる。

Rasant du lac la nappe étincelante
水面の輝く湖をかすめて
D'un vol léger j'effleure les roseaux;
低く飛び、葦に触れ、
Et, balancé sur mon aile brillante,
きらめく翼をひるがえして
J'aime à me voir dans le cristal des eaux.
水晶のような水を見つめるのが、私は好きだ。

Dans vos jardins quelque fois je voltige;
お前の庭のなかを、私は時々飛びまわる
Et, m'enivrant de suaves odeurs,
そして、甘美な香りに陶酔して
Sans que mon pied fasse incliner leur tige,
足で庭草を踏むことなく
Je me suspends au calice des fleurs.
私は花々のうてなを撓める。

Dans vos foyers j'entre avec confiance,
お前の住まいに、私は胸を張って入り、
Et, récréant son oeil clos à demi,
目を半ば閉ざし
J'aime à verser des songes d'innocence
無垢の夢を見させるのが好きだ、
Sur le front pur d'un enfant endormi.
まどろむ子供の脳裏に。

Lorsque sur vous la nuit jette son voile
夜のとばりが降りるとき、
Je glisse aux cieux comme un long filet d'or,
私は天に昇っていく、長い黄金の線のように
Et les mortels disent "C'est une étoile
すると人々は言う「あれは星だよ
Qui d'un ami vous présage la mort."
ある友が天に昇る前兆さ。」

*末尾のla mortはやや唐突だが、ロマン派の詩の半ば定型句。
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セザール・フランク 歌曲「薔薇の結婚」

セザール・フランク (1822-1890)
10 /16 2011
秋バラが満開の季節ということで、こんなロマンチックな曲も時にはいいかと・・・
フランクの知られざる一面です。
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「薔薇の結婚」Le marriage des roses
原詩 ユージン・ダヴィット
作曲 セザール・フランク(1871年、49歳) 



Mignonne, sais tu comment,
愛しい人よ、君は知っているか、どのように
S'épousent les roses?
薔薇が結婚するかを?
Ah! cet hymen est charmant!
ああ、その婚礼は何と魅力的なことか!

Quelles tendres choses
何と愛らしいことかと、
Elles disent en ouvrant
薔薇たちはささやく、
Leurs paupières closes!
閉じている花弁を開くことが!
Mignonne, sais tu comment
愛しい人よ、君は知っているか、どのように
S'épousent les roses?
薔薇が結婚するかを?

Elles disent: Aimons nous!
薔薇たちは言う「私たちは愛し合おう、
Si courte est la vie!
一生はあまりにも短いのだから!
Ayons les baisers plus doux,
もっと甘いキスをしよう、
L'âme plus ravie!
魂をもっと酔いしれよう、
Pendant que l'homme, à genoux,
男たちが膝まずいて
Doute, espère, ou prie!
疑い、願い、祈っている間に!
Ô mes soeurs, embrassons-nous
妹(恋人)よ、私たちは抱擁し合おう
Si courte est la vie!
一生はあまりにも短いのだから!」

Croix-moi, mignonne, croix-moi,
僕を信じておくれ、愛しい人よ、信じて
Aimons nous comme elles,
薔薇たちのように愛し合おう、
Vois, le printemps vient à toi,
ほら、春が君の許にやって来る、
Et, des hirondelles.
ツバメたちも。
Aimer est l'unique loi
愛することが、ただひとつの定め、
À leurs nids fidèles.
ツバメの貞節な巣では。
Ô ma reine suis ton roi,
おお、わが女王よ、君の王に従っておくれ
Aimons nous comme elles.
薔薇のように愛し合おう。

*croix→croire?
rose, hirondelle共に女性名詞。

Excepté d'avoir aimé,
愛し合うこと以外に、
Qu'est-il donc sur terre?
この地上にはいったい何がある?
Notre horizon est fermé,
私たちの地平は閉ざされ、
Ombre, nuit, mystère!
影が覆う、夜闇の神秘!
Un seul phare est allumé,
ただ一つの灯りがともる
L'amour nous l'éclaire!
私たちの愛というともし火が!
Excepté d'avoir aimé,
愛し合うこと以外に、
Qu'est-il donc sur terre?
この地上にはいったい何がある?

セザール・フランク 歌曲「ノクターン」

セザール・フランク (1822-1890)
10 /05 2010
気分を落ち着けてこの曲を聴こうと思う。とても簡潔な曲だけれども、冒頭の不安げな響きが、最終節で澄んだ光のように解決されるところが、かのヴァイオリンソナタを思わせて胸を打つ。心の中に一条の光が差してきたように。


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作曲 César Franck (1822-1890)
原詩 Louis de Fourcaud

歌曲「ノクターン」♪

Ô fraîche Nuit,
おお、爽やかな夜よ
Nuit transparente,
澄んだ夜よ、
Mystère sans obscurité,
曇りなき神秘よ、
La vie est noire et dévorante
人生は暗く、身を苛む
Ô fraîche Nuit,
おお、爽やかな夜よ
Nuit transparente
澄んだ夜よ、
Donne-moi ta placidité.
私に与えておくれ、お前の穏やかさを。

Ó belle Nuit.
おお、美しい夜よ、
Nuit étoilée.
星空よ、
Vers moi tes regards sont baissées.
お前の眼差しは私を見下ろしている
Éclaire mon âme troublée,
乱れる私の心を晴らしておくれ、
Ô belle Nuit,
おお、美しい夜よ、
Nuit étoilée,
星空よ、
Mets ton sourire en mes pensers.
お前の微笑みを注いでおくれ、私の物思いに。

Ô sainte Nuit,
おお聖なる夜よ、
Nut taciturne,
黙した夜よ、
Pleine de paix et de douceur.
平穏と安楽に満たされた(夜よ)
Mon coeur bouillone comme une urne.
私の心は、壷のなかの水のように乱れ騒ぐ、
Ô sainte Nuit,
おお聖なる夜よ、
Nut taciturne,
黙した夜よ、
Fais le silence dans mon coeur.
私の心を静寂にしておくれ。

Ô grande Nuit,
おお偉大な夜よ、
Nuit solemnelle,
厳粛な夜よ、
En qui tout est délicieux,
そこではすべてのものが甘美だ、
Prends mon être entier sous ton aile.
私の全てをお前の翼で包んでおくれ。
Ô grande Nuit,
おお偉大な夜よ、
Nuit solemnelle,
厳粛な夜よ、
Vers le sommeil en mes yeux.
私の目にまどろみを与えておくれ。

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ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。

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