ケックラン 歌曲「エドモン・アロークールの6つの詩」より

シャルル・ケックラン (1867-1950)
09 /09 2015
ケックラン 歌曲「エドモン・アロークールの6つの詩」op.7 より
第3曲「夢の日々」Aux temps des fées

原詩 エドモン・アロークール(1856-1941)
作曲 シャルル・ケックラン(作曲1890-95年)
楽譜(ピアノ伴奏版)


「夢の日々」Aux temps des fées
Aux temps jadis, aux temps rêveurs, aux temps des Fées,
遠い日々、夢の日々、あの夢のような日々に
Il aurait fallu vivre aux bois, chez les muguets,
ひとは森のなかで生きたのか、鈴蘭が咲き誇る
Sous des branches, parmi les rumeurs étouffées,
木々の枝の下で、押し殺したざわめきにつつまれて
Sans rien savoir, sans croire à rien, libres et gais,
何も知らず、何も信じず、縛られることなく、陽気に
Nourris de clair de lune et buvant la rosée,
月の光を糧として、草の露で喉をうるおし、
Il aurait fallu vivre aux bois, chez les muguets,
私たちは森のなかで生きたのか、鈴蘭が咲き誇る
Aux temps des Fées.
あの夢のような日々に。

Nous aurions su dormir sous deux feuills croisées
私たちは重なる葉の下で眠っただろうか
Chanter avec la source et rire avec le vent,
湧き水の音にあわせて歌い、風とともに笑い        
Nourris de clair de lune et buvant la rosée...
月の光を糧として、草の露で喉をうるおし、
Suivre la libellule et la brise en maraude,
蜻蛉と吹き迷う微風を追い、
Chanter avec la source et rire avec le vent...
湧き水の音にあわせて歌い、風とともに笑い....

Peut-être Mab, un jour, nous eût changés en fleurs
妖精マブが、いつか、私たちを花に変えたかもしれない、
Aux temps jadis, aux temps rêveurs, aux temps des Fées,
遠い日々、夢の日々、あの夢のような日々に
Il aurait fallu vivre aux bois, chez les muguets,
ひとは森のなかで生きたのか、鈴蘭が咲き誇る
Aux temps jadis, aux temps rêveurs, aux temps des Fées.
遠い日々、夢の日々、あの夢のような日々に。

aurait→条件法過去(過去に起こりえた結果)、fallu→falloir
les rumeurs étouffées,木々のさやぐ音か、恋人たちの声のニュアンス?
buvant→boire


淡い記憶が重なるように、あるいは意識から消えつつある遠い記憶を、歌いながらたどっているような歌曲。若き日のケックランの瑞々しい傑作!



シャルル・ケックラン 「プリマヴェーラ・クインテット」

シャルル・ケックラン (1867-1950)
09 /08 2015
知られざる大作曲家、シャルル・ケツクランの声楽作品をもう一度取り上げようと思って、音源を探している。なにしろ多作家で長生きしたから作品数は多く、また作風も何度も大きく変わっているので、全体像がまだ見えてこない。フォーレより古臭い若書きから、アンビエントな晩年の作品まで、ひとつひとつ聴いているうちに、凄い傑作が混じっていたりする。この五重奏も、モーツアルト風の古典的な構成に不思議な透明な領域があって、忘れがたい作品..



シャルル・ケックラン 曲集「リリアンのアルバム」より

シャルル・ケックラン (1867-1950)
10 /01 2011
シャルル・ケックラン 曲集「リリアンのアルバム」より

第一曲 Keep that school girl complexion
作詞・作曲 シャルル・ケックラン 



Gardez ce teint de jeune fille,
若い娘の肌を守りましょう、
Gardez ce teint,
肌を守りましょう、
La savon Palmolive vous le conservera.
パームオリーブ石鹸はそれを保ちます
Gardez ce teint de jeune fille,
若い娘の肌を守りましょう、
Gardez ce teint.
肌を守りましょう。

La savon Palmolive est à base d’huile de palme
パームオリーブ石鹸の主成分はパームオイルと、
Et d’huile d’olive.
オリーブオイルです。
On pourait s’en servir pour la salade,
サラダのドレッシングにも使えるかもしれませんが、
Mais il vaut mieux s’en servir pour la peau,
お肌のために使ったほうがよろしいかと、
Pour la peau des dames.
ご婦人方の皮膚に。

Il leur donne un velouté merveilleux,
それがもたらすのは素晴らしい滑らかさで
Et tel que le peut désirer
それ以上のものが得られます、
La plus exigeant amoureux.
注文の多い恋人のお望みよりも。
Gardez ce teint de jeune fille
若い娘の肌を守りましょう、

* *

ケックランは師ガブリエル・フォーレの助手を務めるほどの才能がありながら、5歳年上のドビュッシーや8歳年下のラヴェルのような作曲家としての華々しい活動はせず、該博な音楽学者・教育家として知られた人。風変わりな人としても知られたようで、ちょっと「上品なサティ」の雰囲気がある。

この作品は当時66歳のケックランが、1930年代の映画スター、リリアン・ハーヴェイに夢中になり、夥しいファンレターとともに書き綴った小曲集。当時のコマーシャルフィルムを題材にした歌詞まで付けて、飄々と遊ぶように音楽を付けた老音楽学者。何か音楽の仙人のよう。グレゴリオ聖歌から12音まであらゆる音楽を通過して、このアンヴィエントな音世界に至ったケックラン。現代ではもっと広く親しまれるのではないか、と。

シャルル・ケックラン ピアノ曲集『海と風景画』

シャルル・ケックラン (1867-1950)
08 /26 2010
涼しげなピアノ曲でも聴いて、頭を涼しくしようと思う。

シャルル・ケックランのピアノ作品がUPされていて、なかなかクールで心地よい。この作曲家にはもっと面白い作品が眠っているのかもしれない。是非聴いてみたいな。


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シャルル・ケックラン
ピアノ曲集『海と風景画』Paysages et marines, Op. 63より

I. 断崖の上で Sur la falaise
II. 穏やかな朝 Matin calme
III. 海に向かう道 Promenade vers la mer
IV. ヤギ飼いの歌 Le chant du chevrier

ケックラン 歌曲『老象カーラー・ナーグの歌』♪

シャルル・ケックラン (1867-1950)
08 /20 2010
ケックラン『3つの詩』op.18 より

原作 ラドヤード・キップリング 『ジャングル・ブック』より
作曲 シャルル・ケックラン(作曲1899-1901年)

第三曲は、人間に長く飼われて働いてきた老象と、新入りの象使いの少年サブーとの心の触れ合いの物語。この詩も原作の短編の冒頭に置かれている。朝の大地に向かって咆哮する、年老いた象の勇壮な歌。それを鮮やかに描くケックランのオーケストレーションが最高の聴き物!

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第三曲『老象カーラー・ナーグの歌』♪ Chant de Kala Nag

Je me souviens de qui je fus...
俺は自分がどんな奴だったか覚えてる...
Je me souviens de ma forêt et de ma vigeur ancienne
俺は森と、かつての迸る力を覚えてる。
J'ai brisé la corde et la chaîne,
俺は綱と鎖と引きちぎったものだ、
Je ne veux plus vendre mon dos
俺はこの背中を売り渡しなどしない、
pour une botte de roseaux!
一束のサトウキビのためなんぞに!
Je veux retourner à mes pairs,
仲間たちのもとに戻りたい、
Aux gîtes verts des taillis clos!
密林の緑のねぐらに!

Je veux m'en aller jusqu'au jour,
俺は昼までに出て行きたい、
Partir dans le matin nouveau,
今度の朝のうちに出発したい、
Parmi le pur baiser des vents,
風の接吻につつまれて、
La claire caresse de l'eau:
清らかな水の抱擁につつまれて。
Je veux m'en aller jusqu'au jour!
俺は昼までに出て行きたい、
Je veux retourner à mes pairs,
仲間たちのもとに戻りたい、
Aux gîtes verts des taillis clos,
密林の緑のねぐらに!

J'oublierai l'anneau de mon pied,
俺は忘れよう、足に嵌められた輪を、
L'entrave qui veut me soumettre
俺を屈服させようとする邪魔物を。
Je veux revoir mes vieux amours
俺はもう一度見たい、昔の恋の相手を、
Les jeux de mes frères sans maître!
主人のない兄弟たちが遊んでいるさまを!

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ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。