モーリス・ラヴェル 歌曲「乳香を摘む女たちの歌」

モーリス・ラヴェル (1875-1937)
10 /09 2015
モーリス・ラヴェル 歌曲「乳香を摘む女たちの歌」
(「5つのギリシャ民謡」より)

原詩 ギリシャ民謡 (M. D.カルヴォコレッシによるフランス語訳)
作曲 モーリス・ラヴェル(1904-06年)
楽譜 



O joie de mon âme,
おお、私の心はときめき、
Joie de mon coeur,
うきうきとする、
Trésor qui m'est si cher;
あなたは私の心の宝物、
Joie de l'âme et du coeur,
魂と心のよろこび
Toi que j'aime ardemment,
恋焦がれるあなた
Tu es plus beau qu'un ange.
あなたは天使よりも素敵。
O lorsque tu parais,
あなたが現れると
Ange si doux
甘やかな天使よ、
Devant nos yeux,
私たちの眼には
Comme un bel ange blond,
ブロンドの美しい天使のよう
Sous le clair soleil,
輝く太陽の下で、
Hélas! tous nos pauvres coeurs soupirent!
ああ、哀れな私たちは深いため息をつく!

---
ギリシャの輝く太陽の下で、乳香を摘みながら女たちが歌った労働歌。本当に素朴な歌詞で、同じことばを繰り返しながら片恋の思いを歌っている。口から口へと、母から娘へと、いくつもの世代を経て伝えられてきた歌なのだろう。ただ、この心を揺り動かす感動はどうだろう。ひたすら相手のことだけを思う、愛の気持ちが、何の飾りもなく心に迫ってくる。

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ラヴェル 歌曲「天国の鳥」

モーリス・ラヴェル (1875-1937)
09 /28 2013


Trois beaux oiseaux du Paradis
「天国の鳥たち」

作詞・作曲 モーリス・ラヴェル

Trois beaux oiseaux du Paradis
天国の美しい三羽の鳥が、
Mon ami z-il est à la guerre
(私の恋人は戦争に行ってしまったの)
Trois beaux oiseaux du Paradis
天国の美しい三羽の鳥が、
Ont passé par ici.
そばをを飛んでいった。

Le premier était plus bleu que le ciel,
一羽目は青空よりも青く、
(Mon ami z-il est à la guerre)
(私の恋人は戦争に行ってしまったの)
Le second était couleur de neige,
二羽目は雪の色で、
Le troisième rouge vermeil.
三羽目は鮮やかな赤色だった。

"Beaux oiselets du Paradis,
「美しい天国の小鳥さん、
(Mon ami z-il est à la guerre)
(私の恋人は戦場に行ってしまったの)
Beaux oiselets du Paradis,
美しい天国の小鳥さん、
Qu'apportez par ici?"
ここに何を持ってくるの?」

"J'apporte un regard couleur d'azur
「私は空色のまなざしを持ってきました」
(Ton ami z-il est à la guerre)"
(あなたの恋人は戦場に行ってしまった)
"Et moi, sur beau front couleur de neige,
「そして私は、雪色の美しい額の上に
Un baiser dois mettre, encore plus pur."
残していきます、澄みきった接吻を。」

Oiseau vermeil du Paradis,
天国の真紅の小鳥さん
(Mon ami z-il est à la guerre)
(私の恋人は戦場に行ってしまったの)
Oiseau vermeil du Paradis,
天国の真紅の小鳥さん
Que portez vous ainsi?
あなたは何を持ってきたの?

"Un joli coeur tout cramoisi"
「鮮血に染まった心を」
Ton ami z-il est à la guerre
(あなたの恋人は戦場に行ってしまった)
"Ha! je sens mon coeur qui froidit...
「ああ、私の心は凍りつきそう
Emportez le aussi."
持って行っておくれ。」


天国の鳥は、戦場に行った恋人からの便りをもたらす。しかし「赤い鳥」rouge vermeil→coeur tout cramoisi は心・心臓の鮮血、つまり死の知らせを暗示する。第一次大戦、戦場に翻ったフランス国旗の色、そのひとつひとつの色をまとい、天国から兵士の心とともに恋人の許に還ってきた鳥たち。三曲の合唱曲集の一曲。

ラヴェル 歌曲「3つのマラルメの詩」より2

モーリス・ラヴェル (1875-1937)
09 /23 2012


「3つのマラルメの詩」より
第二曲 Placet futile「空しき願い」

原詩 ステファン・マラルメ
作曲 モーリス・ラヴェル

Princesse! à jalouser le destin d'une Hébé
王女様!私が嫉妬する女神エベの運命、
Qui point sur cette tasse au baiser de vos lèvres;
それはセーブル茶碗の上に、あなたの接吻によって浮かびあがります
J'use mes feux mais n'ai rang discret que d'abbé
私は情熱に焦がますが、慎ましい身分の修道士にすぎません
Et ne figurerai même nu sur le Sèvres.
そのセーブル茶碗の上に姿を顕わにすることもありません。

Comme je ne suis pas ton bichon embarbé
私はあなたのビション犬ではなく
Ni la pastille ni du rouge, ni jeux mièvres
飴でも、口紅でも、安っぽい遊戯盤でもありません。
Et que sur moi je sens ton regard clos tombé
そして感じます、私を見るあなたの無関心なまなざしを
Blonde dont les coiffeurs divins sont des orfèvres!
そのブロンドの髪は、最上の理髪師たちの金細工の技!

Nommez-nous... toi de qui tant de ris framboisés
私を名指してください、あなたのフランボワーズのような笑みは
Se joignent en troupeau d'agneaux apprivoisés
ひとつとなります、従順な子羊の群れに
Chez tous broutant les vœux et bêlant aux délires,
願いを反芻し続け、熱にうかされたように鳴く子羊たちに。

Nommez-nous... pour qu'Amour ailé d'un éventail
私を名指してください...愛が扇ではばたくように
M'y peigne flûte aux doigts endormant ce bercail,
私が描かれますよう、フルートを手にして、この群れを寝入らせる姿に。
Princesse, nommez-nous berger de vos sourires.
王女様、私を名指してください、あなたの微笑みの羊飼いに。

*point→poindre, bichon embarbéマルチーズ犬, peigne→peindre接続法

モーリス・ラヴェル 歌曲集「2つのヘブライの歌」2

モーリス・ラヴェル (1875-1937)
12 /23 2011
モーリス・ラヴェル 歌曲集「2つのヘブライの歌」Deux mélodies hébraïques

原詩 ユダヤ民謡
作曲 モーリス・ラヴェル、1914年



(4分56秒より)

「永遠の謎」L'énigme éternelle
Monde tu nous interroges
世界よ、お前はわれらに問いかける
Tra la tra la la la la ...
トララトラララララ
L'on répond:
返事がある:
Tra la ...
トララ...
Si l'on peut te répondre
もし返事が無いのなら
Tra la
トララ
Monde tu nous interroges
世界よ、お前はわれらに問いかける
Tra la ...
トララ

モーリス・ラヴェル 歌曲集「2つのヘブライの歌」

モーリス・ラヴェル (1875-1937)
12 /17 2011
モーリス・ラヴェル 歌曲集「2つのヘブライの歌」 Deux mélodies hébraïques

原詩 アラム語典礼文
作曲 モーリス・ラヴェル、1914年



1.カディッシュKaddisch

Yithgaddal weyithkaddash scheméh rabba be'olmà
御身の栄光が、王のなかの王よ、称揚されてあれ。
Diverà 'khire' outhé veyamli'kl mal'khouté'khön,
この世を新たにし、死者を復活させる御方よ、
ouvezome'khôu ouve'hayyé de'khol beth yisraël
御身の治世が、吾等イスラエルの子によって告げられてあれ、
ba'agalâ ouvizman qariw weimrou, Amen.
今日も、明日も、将来も、吾等すべてに言わしめよ:アーメン。
Yithbara'kh Weyischtaba'h weyith paêr weyithroman weyithnassé
御身の輝かしい名が愛され、崇められ、褒め讃えられ、栄光につつまれてあれ。
weyithhaddar weyith'allé weyithhallal scheméh dequoudschâ beri'kh hou,
その名が祝福され、聖化され、高められ、天よりも、吾等の賛辞よりも、讃歌よりも、あらゆる祝福よりも高くあれ。
l'êla ule'êla min kol bri'khatha weschi'ratha touschbehata wene'hamathâ daamirân ah! Be' olma.
慈悲深き天がわれらに静寂と平和と幸福とを与えたまわんことを。
Ah! Ah! We imrou. Amen.
吾等すべてに言わしめよ:アーメン。

---
仏語訳・英訳からの重訳です。

*「ヘブライの歌」
作品の題名にもかかわらず、ヘブライの歌とは関係ない。一曲目はアラムのテキスト(葬送歌)を、二曲目はユダヤ民謡の歌詞をもとにしている。
(シュトゥッケンシュミット「モリス・ラヴェル その生涯と作品」(岩淵達治訳、音楽之友社1983年)による解説)

オーケストラ伴奏版(1919年)

ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。

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