アントニーン・ドヴォジャーク オペラ 「ルサルカ」 第三幕冒頭のルサルカのアリア

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
09 /24 2017

アントニーン・ドヴォジャーク
オペラ 「ルサルカ」 第三幕冒頭のルサルカのアリア


Mladosti své pozbavena,
若さを奪われ,
bez radosti sester svých,
姉さんたちのような喜びもなく,
pro svou lásku odsouzena
人間への愛のために罰を受け
teskním v proudech studených.
冷たい流れの中で物思いに暮れる。

pro svou lásku odsouzena
人間への愛のために罰を受け
teskním v proudech studených.
冷たい流れの中で物思いに暮れる。
Ztrativši svůj půvab sladký,
甘い魅力を失い,
miláčkem svým prokletá,
愛する人には罵られ,
marně toužím k sestrám zpátky,
空しく姉たちの許へ戻ろうとし,
marně toužím do světa.
空しく人の世界に憧れている。

Kde jste, kouzla letních nocí
どこにあるの,夏の夜の魅力は,
nad kalichy leknínů?
睡蓮の萼の上に漂っていたのに?
Proč v tom chladu bez pomoci
なぜこの冷たい所で助けもないのに
nezhynu, ach, Proč nezhynu?
私は死ねないの?

Mladosti své pozbavena,
若さを奪われ,
bez radosti sester svých,
姉さんたちのような喜びもなく,
pro svou lásku odsouzena
人間への愛のために罰を受け
teskním v proudech studených.
冷たい流れの中で物思いに暮れる。

Proč v tom chladu bez pomoci
なぜこの冷たい所で助けもないのに
nezhynu, ach, nezhynu?
私は死ねないの?

ドヴォルジャークのオペラ「ジャコバン党員」から 第三幕、伯爵のアリア

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
07 /12 2017
ドヴォルジャークのオペラ「ジャコバン党員」から
第三幕、伯爵のアリア

老伯爵とその勘当された息子とを仲直りさせようと、音楽の先生ベンダは説得を試みます。しかし老伯爵は、息子がジャコバン党員になったというデマに欺かれて、それを退けますが、後悔と悲しみに苛まれる、という場面です。父親の怒りと悲しみ、そして過ぎた日々への思い。ドヴォルジャークの声楽曲の真骨頂か。



伯爵 
Ó, nevzpomínej! Ten úsměv děcka,
おお、思い出させないでくれ!あの子の微笑み、
ty líce ruměné, má radost všecka!
薔薇色の頬、わが喜びのすべて!
Ty chvíle blažené se víc nenavrátí.
あの至福の時は二度と戻ってこない!

ベンダ 
Já vždycky sníval, ty slasti času dávného
私はずっと夢見ていました、昔の楽しかった時が
s dítkami syna drahého, že se vám vrátí!
愛しい息子さんの幼子とともに、あなたの許に戻ってくることを。

伯爵 
Ne, nenavrátí! Ten úsměv děcka,
いや、戻ってくることはない!あの子の微笑み、
ty líce zardělé, má radost všecka.
赤らんだ頬、わが喜びのすべて!
Ty chvíle blažené se víc nenavrátí.
あの至福の時は二度と戻ってこない!

ベンダ 
A haluz rodu starého vypučí z kmene jarého; 
老木も春には枝から新芽を吹くといいます。 
ó, pomněte, jsou vaše krev!
おお、血を分けた家族を思い出してください。

伯爵 
To děti ženy cizí,
見知らぬ女が産んだ子か、
k ní nikdy nevymizí má zášť i hněv!
あの女のことを思うと今でも腹が立つ!
Mně odcizila syna, a což víc jeho vina:
わしから息子を奪い、さらにあの息子の不行跡!
se přidat k rotě lidu zvrhlého,
いかがわしい連中の一団に加わった
jenž boří vše, co v světě svatého!
この世の聖なるもの全てをぶち壊すような連中だ!
Má krev, můj syn! To učinil můj syn!
血を分けたわが息子が、そんなことをしでかしたのだ!
Slavného rodu jméno
誇らしいわが家門の名は
na věky potupeno v kal nejnižší!
永遠に地に落ち、泥まみれとなったのだ!

ベンダ
A přece svazky otcovské lásky
それでも父親の愛という絆は
jsou nejbližší!
かけがえのないものです!

伯爵 
Ne, ne, já nemám syna!
いや、いや、私には息子はおらん!
Jdi, nemluv o něm dál!
行ってくれ、あの子のことは二度と話さないように!

ドヴォルジャーク オペラ「悪魔とカーチャ」より 第三幕女領主のアリア

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
07 /12 2017
ドヴォルジャークの後期のオペラは旋律もきれいだし、オーケストラも凝っていて聴き応えがあります!「ルサルカ」の前年に書かれたオペラ「悪魔とカーチャ」から第三幕、悪魔の来襲に怯え、強欲さを悔いる女領主のモノローグです。

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ドヴォルジャーク
オペラ「悪魔とカーチャ」より


第三幕 女領主のアリア
KNĚŽNA(女領主)
Jak smutno v zámku - pusté síně,
何て館の中は寂しいのかしら-広間にはひとりもいない
jež veselostí hlaholily -
かつては笑い声が響いていたのに
teď ticho všude jako v hrobě,
今はどこも墓場にいるみたいに静かで
jen ohlas kroků zvučí sálem.
広間に響くのは足音だけ。
Zde rozkoš vládla - rozkoš smavá -
ここには楽しみ、微笑がいっぱいあって
a řady hostů rozjařených
陽気な客人が大勢いて
tu u jejího dlely trůnu.
玉座近くに侍っていた。
Jak sen tu život plynul krásně,
毎日は夢のように美しく流れていった
sen lásky, blaženosti, štěstí,
愛の夢、陶酔、幸せ
když náhle zazněl - jaká hrůza -
ところが突然-ああ恐ろしい-
hlas věštby, hlas děsný, nelítostný.
予言者の恐ろしい、容赦ない声が響いてきた。
Ten ze snění nás vyburcoval
あの声で私たちは夢から覚めた
tak náhle - úžas všech se zmocnil,
突如として-皆は震えあがって
že peklu propadla já bídná.
哀れな私は地獄に落とされる。
Ó, cinkot převržených číší
ああ、転がった盃の鳴る音
a bledé tváře vyděšené,
驚き青ざめた顔また顔-
vše prchalo ve zmatku divém.
誰もが慌てふためいて逃げ去った。
Já sama zbyla - v propast hříchu,
私は一人残された-罪の奈落に
jež přede mnou teď zela tmavá,
今私の前には暗い深淵が口を開け
zrak zoufalý se zahleděl.
ぞっとする目つきで私を睨んでいる-
Mne lítost chvátí - jasně vidím,
私は悔恨の念に苛まれ-はっきりとわかる
jak žila jsem, co hříchů hrozných
これまでの生き方が、何と恐ろしい罪が
se pod rozkoše květy krylo -
歓楽の花の下に隠されていたことか-
však co vše platno - pozdě - pozdě!
だが今となっては致し方ない-もう遅い!
Co zbývá mi? Jen marná naděj.
私に残されたことは? 一縷の望みもない。
Kdo mohl by mne vysvobodit?
だれが私を助けてくれよう?
Sama jsem - jak úzko je mi - úzko!
ひとりだとーなんて心細いこと!

ドヴォジャークの「ルサルカ」冒頭

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
06 /20 2017

ドヴォジャークの「ルサルカ」の台本を読む。とても平明なチェコ語で、辞書を引けば習いたての人でも読めると思う。ただ原文は工夫もあって、ルサルカが父のヴォドニークに、湖に水浴びに来た王子への愛を語る場面、v loktech mých se koupá「私の肘の中で彼は泳ぐ」は見慣れない表現だけど、ルサルカが湖水そのものの化身であることを、巧妙に表現しているわけです。とても簡素な単語で。
(この映像の約15分からのアリアです。これがまたいい曲!)


Rusalka:
Sem často přichází
あの人はよくこの湖に来て
a v objetí mé stoupá;
私の抱擁に身を委ね
šat shodí na hrází
上着を堤に投げすてて、
a v loktech mých se koupá.
私の腕のなかで水浴する。
Leč pouhou vlnou jsem,
でも私はただの波にすぎないから
mou bytost nesmí zřít.
彼は私の存在を感じることはできない。
Ó vím, že člověkem dřív musela bych býti,
おお、まず人間にならなくては
jak já jej objímám a vinu já jej v ruce,
私が彼を胸に抱き、この腕につつみ
by on mne objal sám
彼がこの私を胸に抱いて
a zulíbal mne prudce!
私に熱いキスをしてくれるように!

ドヴォジャーク 男声合唱曲 「フィドル弾き」Huslař (抄訳)より

アントニーン・ドヴォジャーク (1841-1904)
06 /13 2017
男声合唱曲 「フィドル弾き」Huslař (抄訳)より

ドヴォジャークの声楽曲の対訳をねちねちと点検中。分からない箇所をチェコ人の音楽学者にメールで問い合わせると、100年以上の前の民謡はもうチェコ人にも分かりません、と言いつつ添削して下さる。有難うございます。
Op.番号の無い合唱曲を読んでいて、あれ、どこかで聴いたことがあるなあ、と思い、文献にあたるとちゃんと書いてあった。この合唱曲は「交響的変奏曲」に転用されていますね。だが歌詞を読んでみると、ああ、そういうことか、と目の前が開けた思い。これは歌詞を知ると、曲の解釈はがらっと変わると思いますよ。当時のチェコ人に宛てた政治的な含蓄がありますね。そしてユーモラスな自画像が。

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「フィドル弾き」Huslař (抄訳)


Já jsem huslař přeubohý,
俺は哀れなフィドル弾き
nemám jen tu hřivnu,
持っているのは才能だけ
a přec všudy se mi daří,
だがどこへ行っても見事に弾き
kam širákem kývnu.
鍔広帽を振って会釈する。

Mé píseňky polní kvítí,
俺の歌は野の花、
ono ňadra zdobí,
女たちの胸を飾り
děvčátka z těch sladkých zvuků
彼女らはその甘い響きで
pérečka* si zrobí.
花輪を編む。

A v každičkém takém květu
そしてどの花にも
pohár šumné vůně,
愛らしく香しい盃がある
by se těšil, kdo na lásku
慰めるように、愛ゆえに
v srdélenku stůně.
心のなかで苦しんでいる者を。

By se těšil, komu slzy
享受するように、涙が
napadaly k líčku,
頬を濡らす者が
pro tu milou, milučičkou
愛しく大切な
naši svobodičku.
われらの自由を。

ISATT

愛好する歌曲・カンタータの試訳集です。